妄想鉄道研究所

総武・京葉短絡線

このページでは、有意義だとは思うのだけどなぜかあまり見かけない総武線と京葉線を短絡する路線を妄想します。2007年当時の状況に基づいて記載しているので現状と合わない部分もございますが、その点はご容赦を(2015.10.10転載)。

【更新履歴】

  • 2015.10.10…掲載サイトを移転しWiki化
  • 2007.06.22…案4・5
  • 2007.06.17…案3
  • 2007.06.14…案2
  • 2007.06.11…案1
  • 2007.06.10…制作開始

1.はじめに

 ここで妄想するのは、京葉線稲毛海岸駅から総武線千葉駅に至る短絡線であり、2000年1月の運輸政策審議会答申による「総武・京葉線接続線」(新木場~新浦安~船橋~津田沼)とは異なります。

 筆者の短落線案は、別に筆者独自の案ではありません。京葉線は1986年(昭和61)年に西船橋~千葉港間、1988年(昭和63年)12月に新木場~南船橋間と高谷支線(市川塩浜~西船橋間)および二俣支線(西船橋~南船橋間)が開業していますが、そのころから提唱されていました。筆者の記憶では、当時のRailMagazine誌に掲載されていたはずです。

 審議会案は、船橋・津田沼といった大需要地から京葉線にダイレクトアクセスできる路線を構築することで総武線(と地下鉄東西線)の混雑緩和を狙ったものと考えられます。しかし、この案では輸送力増強は果たせても、現状で「不便だ」と思われているところを便利にする効果はあまり期待できないように思います。

 現状、千葉県内の鉄道交通において「不便」と感じるのは

  • 成田空港から千葉県内へのアクセス(特に千葉市内・幕張メッセ・TDR)
  • 京葉線沿線から千葉駅へのアクセス(千葉みなと駅から割高なモノレール利用となる)
  • 内房線・外房線から千葉駅へのアクセス(「さざなみ・わかしお」が千葉駅を通らない)

 …と、千葉駅を軸とした鉄道ネットワークの不備が原因となっている事項です。簡単に言えば「京葉線が千葉駅を通らないこと」が元凶となっているわけです。

 そこで、京葉線を千葉駅経由に改変する、という考え方が出てくるわけですが… 一方で、京葉線には「千葉駅を通らないこと」によるメリットも厳然として存在するのです。例えば内房線・外房線方面から東京方面への所要時間短縮や混雑緩和が挙げられます。そのため、このページでは、あくまで総武線から京葉線への直通運転を可能にして上記3点を改善する「短絡線」のあり方を考察していきます。

 当面は線路配線に重点を置き、運転系統などは別途考えることにします。
総武・京葉短絡線/chiba-map.gif
総武線・成田線・京葉線路線図

2.千葉駅付近の線路配線

千葉駅

 2007年6月現在の千葉駅付近の線路配線は下の図のようになっています。千葉県内のJRの輸送形態は、まさに千葉駅の独特の構造に基づいて構成されています。千葉駅は5つのホームを有し、

  • 1・2番線…総武線各駅停車
  • 3・4番線…内房線
  • 5・6番線…外房線
  • 7・8番線…総武線
  • 9・10番線…成田線

 と、方面別にホームが固定されているのが一大特徴と言えます。このため、千葉駅から千葉以東へJRを利用する乗客にとっては自分が向かうべきホームがわかりやすい反面、千葉以東から船橋・東京方面へ向かう列車(東京方面から千葉で折り返す快速電車を含む)は、その列車がやってくる路線によって発着するホームが異なり、コンコースの発車時刻表示器でどの番線に向かうべきかを判断しなければなりません。本来なら、総武線快速(船橋・東京方面)のホームを別個に用意した上でさらに千葉以東への各路線のホームを設けるのが最高なのですが…

総武・京葉短絡線/chiba00.gif
千葉駅付近の現状の線路配線

 上の図ではわかりませんが、6番線と7番線の間には駅ビルが割り込んで総武線・成田線方面と内房線・外房線方面で駅が股裂きされたような構造になっているため、千葉以東から船橋・東京方面へ向かう列車の発着線を統一できないのです。このことは、後述する短絡線の構成に重大な影響を及ぼします。

黒砂信号場

 千葉駅の東京方、快速線の稲毛~西千葉間に両Y線方式の待避線が設けられています。ここが黒砂信号場です。ここは主に千葉駅~幕張車両センター間の回送列車の時間調整に使用されます。

東千葉駅

 1965年(昭和40年)の千葉駅移転の際に代替として設けられた駅です。旧千葉駅は当駅と現千葉駅の間にありました。その跡地が留置線となっており、総武線・成田線方面のローカル列車を待機させるのに活用されています。

蘇我駅

 内房線・外房線・京葉線が集まるジャンクションとして重要な駅です。内房線の特急「さざなみ」と外房線の特急「わかしお」が総武線経由から京葉線経由に変更された際に、同駅で千葉方面への普通列車と接続するようになりました。しかし、それでも「直通」というメリットを失った結果、「さざなみ」「わかしお」も衰退するようになったと言われています。このページの妄想案は、この点を解消することも目的としています。

 当駅は京葉臨海鉄道との結節点でもあり、新小岩操車場からの貨物列車が6番線の西側にある貨物側線に到着する際、外房上り線(注:千葉~蘇我間は外房線です)を逆線走行する区間を短くするための通路線が設けられています。

3.短絡線案その1

 では、短絡線の案を挙げていきます。まず1番目は最もありがちな、稲毛海岸駅から千葉駅に接続する複線の短絡線を建設するものです。この短絡線は、京葉線と総武線の間にある住宅地を貫いて、国道14号線をオーバークロスする形で設けます。高架線と高架線を結ぶ形になるので、当然高架線とせざるを得ません。

総武・京葉短絡線/chiba01.gif
短絡線案その1

 稲毛海岸の蘇我方[A点]で分岐させて、稲毛~西千葉間[B点]で快速線に接続させます。[A点]はコストダウンのために立体交差を造りません。この案1では、京葉線のメインルートはこちらの短絡線側となり、京葉線下りと短絡線上りの平面交差はさして苦にならないと考えられるからです(千葉みなとルートは、日中は多分30分に1本程度にせざるを得ないでしょう。または同駅を廃…)。

 [B']のわたり線は、京葉線→短絡線→内房・外房線の直通列車のために設けます。なお、B点と千葉駅の間は、線路用地を拡幅するのが困難なので線増しません。これは、案1以後の各案に共通の前提条件です。

 案1では、短絡線そのものの輸送力は十分あるので、

  1. 成田空港から千葉県内へのアクセス(京葉線~成田空港間 快速・特急)
  2. 京葉線沿線から千葉駅へのアクセス(京葉線~千葉間 普通・快速)
  3. 内房線・外房線から千葉駅へのアクセス(京葉線~内房線・外房線 特急)

 等の列車は全て運転できます。ただし、2.については、東千葉駅の留置線を利用して折り返すなど、千葉駅での折返し方法を工夫しなければ同駅のホーム不足を招くことになりそうです。

 この案の欠点としては、[B点]付近の立体交差の構築に費用を要することと、千葉駅から以東への列車の発着ホームがバラバラという問題をさらに悪化させることが挙げられます。特に後者は利用客の立場ではかなり困ったことで、総武快速がバラバラな上にさらに京葉線がバラバラに発着することになるわけで…誤乗防止策としての案内表示器等の設備投資も大きなものになるでしょう。

 また、千葉駅の各ホームの容量が不足するのは必定で、これを防ぐためには相当量の普通列車を千葉以西~総武快速・京葉線直通とすることが望まれます。しかし、千葉以東の房総各線の普通列車は113系が4・6・8・10両(10両は少数)、211系が5両編成であるのに対し、京葉線は10両編成ですから、千葉を境とした輸送段差を無視した列車設定をしなければならず、輸送効率上の問題点を抱えることになります。

 比較的低コストではありますが、それなりに欠点も多い案と言えます。

4.短絡線案その2

 案1の短絡線を単線化すると案2になります。

 単純に単線化するとダイヤ乱れに非常に弱くなるので、京葉線からの分岐点[A点]は複線分岐としておき、そこから1編成分を収容できる長さを確保して[A']点で合流させます。このようにすれば、[A点]~[A'点]間に列車を収容して、後続列車や対向列車を支障することなく信号待ちをさせることができます。

総武・京葉短絡線/chiba02.gif
短絡線案その2

 ただ、このようにしても線路容量そのものは大きくならないので、案2では

  1. 成田空港から千葉県内へのアクセス(京葉線~成田空港間 快速・特急)
  2. 京葉線沿線から千葉駅へのアクセス(京葉線~千葉間 普通・快速)
  3. 内房線・外房線から千葉駅へのアクセス(京葉線~内房線・外房線 特急)

 のうち、付加価値の高い1.と3.の列車を運転することしかできないでしょう。1時間に最大で4往復程度が限界になります。逆に、この程度の運転本数であれば、千葉駅折返しを設定するのでもない限り同駅のホーム容量不足を招く懸念は少なく、現在の千葉駅の処理能力に応じた列車設定ができます。つまり、現在の千葉駅の設備に見合った短絡線のあり方が案2である、とも言えそうです。

5.短絡線その3

 短絡線の線路容量、千葉駅の利便性とホーム容量の全てを確保するのが案3です。千葉駅の地下に京葉線専用のホームを設け、総武線佐倉方→千葉→京葉線方面 と 内房・外房線→千葉→京葉線 の列車を発着させます。京葉線方面は地下ホームに限定され、案1に比べて旅客案内上の問題はある程度改善できます。地下ホームは、千葉駅の駅前広場の下を潜っている道路のさらに下を通すことになるので、少々深くなってしまうのは許容しなければなりません。

総武・京葉短絡線/chiba03.gif
短絡線案その3

 この地下ホームにアクセスする短絡線は、総武線側からは東千葉~都賀間[C点]から、内房・外房線側からは蘇我駅の本千葉方[D点]から分岐させて地下に潜らせます。[C点]は千葉~東千葉間に設けるのが本筋でしょうが、同駅間は短くて短絡線を深く潜らせるための距離を稼ぐことができないと考えられます。

 また、[D点]も同様に本千葉駅の千葉方に設けたいところですが、本千葉駅はすでに高架駅ですから短絡線を潜らせるスペースを確保できません(強引にスロープを設けると、立体交差している道路を分断しなければなりません)から、蘇我駅から分岐させざるを得ません。[D点]からの短絡線は、千葉方から蘇我駅に到着する貨物列車のルートを潰して設けます。貨物列車は外房上り線を長い距離にわたって逆線走行することになりますが致し方ありません。また、こちらの短絡線も外房線をアンダーパスする道路のさらに下を通すため、急勾配で潜らせる必要があります。

総武・京葉短絡線/chiba-city-map.gif
総武・京葉短絡線の千葉市内のルート

 案3の短絡線のルートは図のようになります。千葉の地下ホームを出た短絡線はそのまま西に直進し、旧千葉貨物ターミナル跡地で地上に顔を出して京葉上り線に接続させます。一方、京葉下り線→総武快速下り線の短絡線(上図の青線)は案1以来変わらず稲毛海岸駅から分岐させます。これにより、千葉駅から各方面に発車する列車のホームは従来どおり統一できます。

 案3は地下線・地下駅を建設することから案1・2に比べて所要コストは増大しますが、設備容量と利便性の面では大きな改善が望めます。ただし、京葉線の列車を千葉駅で折返しさせることはまだできず、案1で指摘したように京葉線~房総各線の直通列車に頼ることになり、千葉駅での輸送段差を無視した列車設定をしなければならないという問題は残ります。

6.短絡線案その4

 案4は案3の[C点]を折り返し運転が可能なように改良したものです。京葉線からの列車は千葉駅の9・10番線に到着させ、[C点]に設けた椿森信号場で折り返して千葉駅地下ホーム12番線から京葉線方面に出発させます。

総武・京葉短絡線/chiba04.gif
短絡線案その4

 案4では、このページで挙げている短絡線案の目的である

  1. 成田空港から千葉県内へのアクセス(京葉線~成田空港間 快速・特急)
  2. 京葉線沿線から千葉駅へのアクセス(京葉線~千葉間 普通・快速)
  3. 内房線・外房線から千葉駅へのアクセス(京葉線~内房線・外房線 特急)

 の全てを実装でき、また、無理に京葉線~房総各線の直通列車を設定する必要もなくなります。ただし、椿森信号場の箇所では現状の本線を大きく改良しなければならず、千葉駅の9・10番線の容量は少々苦しくなるでしょう。ダイヤの組み方によっては、京葉線からの列車の到着専用として10番線のさらに北側にもう1線ホームを増設する必要があるかもしれません。

7.短絡線案その5

 案5は案4の改良型で、[C点]の椿森信号場を案3と同様に単なる分岐点とし、京葉線の下り列車を千葉駅の地下ホームに直接乗り入れられるように[E点]~千葉駅間の地下線を複線にしています。千葉駅地下ホームの両側にシーサスクロッシングを設けて同ホームの運用性も向上させます。

総武・京葉短絡線/chiba05.gif
短絡線案その5

 案4に比べ、

  • 京葉線からの折返し列車が千葉駅のホーム容量を圧迫しない
  • 京葉線からの折返し列車を椿森信号場まで回送する手間とコストが回避できる

 というメリットがあり、建設費はこれまでの案の中では最大となるでしょうが、それに見合った利便性は得られるものと思われます。


2015.10.10転載


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