妄想鉄道研究所

京成高砂駅高架化

 成田~羽田短絡線の記事を作成した2010年当時、京成高砂駅の高架化は必要性こそ叫ばれていたものの、具体的な動きは見えていませんでした。しかし、成田スカイアクセス線のプロジェクトが具体化し、同駅構内を通過する列車が増加する事態となり、2面4線のうち1線を使って折り返していた金町線がどうにも邪魔になって、京成電鉄は自己資金での金町線の先行高架化を決断しました。それが現在の同駅のハードウェアになっています。

 その後10年が経過し、高架化の最大のネックと目されてきた高砂検車区の代替地の目途も見えてきました。このページでは、2020年時点で公表されている資料を基に、極めて困難とされている京成高砂駅の高架化の手順を検討してみたいと思います。

1.ネット上の記事から見える全体像

 これらの記事が参考になります。

 また、筆者よりもかなり前に私的に高架化ステップを検討されているブログもありますね。

2.検討の前提条件

(1)車両基地は地平式

 上記のリンク先の記事を見ますと、高砂検車区の代替地は現在駅の南東にある都営高砂アパートの用地の一部ということで検討されており、基地の上空を公園とすることが考えられています(小田急の喜多見車両基地のイメージですね)。駅は高架化しても基地は高架化しない、ということであり、基地の入出区線は現在の北総線と京成本線の立体交差のすぐ南に造ると想定されます。つまり、ここでは京成本線は地平に降りていることになります。その前提で完成形を推測していきます。

 ところで、現在の高砂検車区は160両の収容力があるとされていますが、新車両基地では、その用地と目されている範囲から考えると、検修庫を除いて8両編成12本96両ぐらいを収容するのがせいぜいではないかと思われます。差し引き64両分を収容する留置線を別途用意しなければなりません。北総線の印旛車両基地は、普通に造れば8両を縦列駐車する留置線が2本、多少無理すれば4線増設できそうなので、そこで補完することになるのでしょう。

(2)京成小岩駅付近高架化とはリンクしない

 隣接する京成本線京成小岩駅にも高架化の構想があります(京成高砂駅は葛飾区で、京成小岩駅は江戸川区)。そして前述のとおり、京成本線には高砂駅の南に地平となる区間ができると想定されます。ということは…小岩の高架化とは地平区間を境にプロジェクトを分割できるはずですね。よって、本ページでは京成小岩駅付近の高架とは無関係に考察を進めます。

 ただし…一連の工事が完成すると、京成高砂から京成本線の下り列車に乗ったとすると。高架駅から一度地平に降りて、車庫線が分岐したら直ぐにまた高架に上がる…という結構間抜けな線形になってしまいますね。東急目黒線の武蔵小杉~元住吉間に類似した設備になりそうです。

(3)重層高架は考えない

 隣接する青砥駅は、重層高架の好事例として有名ですね。しかし、京成高砂駅では、前述のように近傍に地平区間ができるプランになるので、高い高架線を建設する重層高架を採用すると必然的にスロープ部分が長くなり、分岐器の配置に大きな制約が生じます。また、駅の東側には架空送電線と交差しているところがあり、そこでも高架橋の高さが制限されます。そういうわけで、本ページでは重層高架は採用しません。公的資料などを見ても、そのような構造は考えられていないようです。

(4)一時的な機能縮退は甘受する

 このページに先んじて公開した京急品川駅改良では、同駅が京急の超主要駅であることから、運転取扱機能を大きく減殺しないように考えました。しかし、京成高砂駅は…乗換需要は大きくとも、当駅自体の乗降人員はそれほど多くはありませんし、隣接する青砥駅と機能的にも重複しています。そこで、京成高砂の高架化においては、一時的に運転線路を減らすこともやむを得ない、と考えています。

(5)中川橋梁は掛け替えない

 京成本線の荒川橋梁(京成関屋~堀切菖蒲園間)は、線路の高さが堤防よりも低く、洪水が発生した際の越水点となることから掛け替えることになっています。では青砥~京成高砂間の中川橋梁は大丈夫か…? という点が気になるところですが、今のところ橋梁掛け替えが事業化している様子も無いので、京成高砂駅の高架化に際して橋梁をかさ上げするなどの対応は必要なさそうです。

 そうなると、現在の橋梁を弄ると鬼のように面倒臭い河川法の手続きが必要になってしまうので、本ページの検討では中川橋梁には手を付けないこととします。

 なお、橋梁から京成高砂駅の間は高架駅へ上っていくスロープとなりますので、分岐器を設けるには不適です。よって、本ページにおける検討では、この区間には分岐器は設けない前提とします。

3.現在はこのようになっています

京成高砂駅高架化/takasago-1.png
京成高砂駅付近の現在の線路配線

 2020年10月現在の線路配線はこのようになっています(保守用車線などは省略しました)。

 グレーのハッチングをした部分(車両基地を除く)は、現状で高架化されていることを示しています。

 京成高砂駅の特徴としては…周辺の駅の運転取扱機能が充実していることが挙げられます。青砥駅は重層高架のおかげで上下線の交差支障が無く、押上線方面からの折返しも可能です。

 また、北総線矢切駅、京成本線小岩駅も2面4線の設備を有しており、高砂駅での待避や折返しを代替させることも可能でしょう。この設備状況を十全に利用して、高架化工事中の機能縮退を補完するわけです。

4.ステップ2で車両基地を新設・撤去する

京成高砂駅高架化/takasago-2.png
京成高砂駅高架化 STEP2

 このステップを果たすまでには長期間が必要です。

 まず、1番線の海側(図版の下側)にホームを仮設。新車両基地を建設し使用開始(あっさり書きましたが数年を要するはずです)。その直後に旧車両基地を撤去。それと並行して矢切・京成小岩のわたり線整備(京成高砂駅の折返し機能を補完するための設備)と、青砥~京成高砂間に押上線下り線から京成本線上り線へのわたり線挿入を行います。

 さらに、金町線の高架線の下に、金町線地平線路に面する仮ホームを設けます。これらの準備を終えたら、下りホームと金町線高架ホームの使用停止と、配線変更を伴う切換工事を実施します。これにより、高砂駅は2面2線+1面1線(金町線)で列車を捌くことになります。上り列車は1番線(の海側のホーム)、下り列車は2番線です。

 複々線で捌いていた列車本数を複線で捌くことになるわけですから、線路容量を確保するにはいろいろ工夫が必要でしょう。例えば、列車密度が濃くなる時間帯は優等列車は当駅を通過させるなどして、停車列車が線路を塞ぐのを防ぎます。

 また、このステップを果たすと、金町線の車両を車両基地に収容できなくなります。閉じ込めた編成の定期検査をどのようにして行うか、検討しておく必要があるでしょう。

5.ステップ3:京成本線下りを高架化

京成高砂駅高架化/takasago-3.png
京成高砂駅高架化 STEP3

 旧上りホームの跡地に高架の新下りホームを構築します。新下りホームは金町線折返し用の切り欠きホーム(4番線、4両対応)を備えます。これは、乗換利便性の確保のほか、エレベータやエスカレータを減らしてコストダウンするのが目的です。

 この時点では、新下りホームからは京成本線の下り列車のみ発着可能で、高架線から地平に降りていくスロープは旧車両基地の用地を使用して新設します。そのため、新車両基地への入出区線の分岐部(前ステップで造ったばかり)は早速配線変更をしなければなりません。

 金町線は、使用停止していた高架線を下り線の高架に接続し、高架下の仮設ホームは切換直後に使用停止して撤去します。このとき、金町線の地平線路も撤去します。

 北総線下り列車は、引き続き地平の2番線からの発着となります。高架ホームから北総下り線に出発できるルートをまだ構築できていないためです。

6.ステップ4:北総下り線を高架化

京成高砂駅高架化/takasago-4.png
京成高砂駅高架化 STEP4

 前ステップで撤去した旧京成本線下り線の跡地に、新北総下り線の高架を構築して切り換えます。これで北総線の下り列車が高架下りホームに発着できるようになりますので、地平2番線を使用停止し、旧上りホームを撤去。高架上りホームの構築を開始します。

 そのつぎに、それまで北総下り線が使用していたスロープに、北総線の上り列車を通すように切り換えて、北総上り線のスロープを撤去します。引き続き上り列車は1番線のみで捌くことになります。

 本当は上り線を早く2線で運転できるようにしたいところですが、京成高砂駅高架化では用地を確保できるのが下り線側になってしまうため、どうしても下り線側が先行してしまいます。

7.ステップ5:上り線の仮線切り換え

京成高砂駅高架化/takasago-5.png
京成高砂駅高架化 STEP5

 このステップでは、前ステップの切り換えの後に撤去した旧北総上り線のスロープ跡地に仮本線上り線を通す線路切換を行います。また、仮北総上り線のルート変更の切り換えも行います。

 これらは、本線上り線を高架に持ち上げるスロープと、北総上りを高架上りホームに接続する高架線を構築するために行うものです。これらを施工している間に、高架上りホームを並行して構築します。

8.ステップ6:本線上り線を高架化

京成高砂駅高架化/takasago-6.png
京成高砂駅高架化 STEP6

 前ステップで使用廃止した旧本線上り線の跡地に、高架線に接続するスロープを新設し線路切換を実施し、高架上り2番線を使用開始します。これにより、上り線は本線が高架、北総が地平に分離されます。このステップで一時的に複々線運転が復活します。

 また、このステップを果たすと、2・3番線で下り方面への折返し運転が可能となり、京成高砂駅が運転取扱機能を徐々に取り戻してきます。

9.ステップ7:北総上り線を高架化

京成高砂駅高架化/takasago-7.png
京成高砂駅高架化 STEP7

 前ステップで撤去した本線仮上り線の跡地に、北総上り線を高架上りホームに接続する高架線を建設して使用開始します。これで、連立事業区間の全ての踏切が除去されます。ただし、高架ホームの1番線側はまだ線路ができていないので、高架2番線だけで全上り列車を捌くことになります。

 旧仮北総上り線は、線路は撤去しますが、スロープ部分は残置します。1番線の仮設ホームはこの段階でようやく撤去できます。この手のプロジェクトでは、大抵は一番最初に仮設した設備が一番最後に撤去することになりますね。

10.ステップ8:北総上り線ホームを高架化して完成

京成高砂駅高架化/takasago-8.png
京成高砂駅高架化 STEP8

 最後に、1番線の地平線路を撤去して、その直上に高架線を構築して北総上り線ホームを高架化すれば完成です。元々北総下り線が使用していたスロープは、高架化工事の際に撤去させられた保守基地用に再整備します。

11.当然ながら本ページの内容も筆者の勝手な予測ですよ?

 本ページにおいては、衛星写真や現地調査の結果に基づいて「こういう手順ならできるかな」という筆者の予測を示しました。最終形がどういう形になるかを含めて、公式に発表されているものではありませんのでくれぐれもご注意ください。

 2020/11/02 Panzerfalcon


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