京急品川駅改良Version2
京急品川駅改良を2020/11/01に公開した2週間後に、東京都環境局のページに公式の資料がアップされていたのをつい先日発見いたしました。京急品川駅改良工事の公式案についてで申し上げたとおり、筆者が想定した工事ステップは全くの大外れでした。本ページでは、公式に発表された施工方法に則って、資料に載っていない部分を筆者なりに予想した工事ステップを新たにご紹介します。これももしかしたらハズレているかもしれませんが、その点はご容赦ありたく。
1.線路配線のステップ
正直なところ、追加された公式資料を見ても、正確な配線図が示されているわけではありません。品川駅改良においては、事業範囲の中で主要な数カ所の断面概略図が示されており、そこから公式に考えられている施工ステップを読み取っています。なお、泉岳寺駅についてはまだ線路配線に関する資料を見つけられておらず、引き続き筆者の妄想案となっています。
STEP1
まず、2021年4月現在の泉岳寺~新馬場間の線路配線を示します。本当は縦断面図を示した方が判りやすいと思いますが、そこまでの気力が湧いてこないのでここでは平面図のみです。この工事で真っ先に行うのは、現品川駅の線路やホームを工事桁で仮支えして1Fを空洞にすることです。

STEP2

STEP3

STEP4

STEP5
品川駅の1Fに2面4線の新駅を一挙に構築。泉岳寺~品川間の下り本線は、仮設引上線の下に抗口を本設で設けます。北品川駅は、現駅の上に高架駅を構築(跨線橋などをどのように始末するのかは不明)。北品川~新馬場間にできる切換口は、上下線を一発で切り換えるように造ります(それ以外に方法が無い)。
なお、地平の北品川から高架の新馬場に駆け上がるスロープ部分については、その西側に昔の高架化の際に活用したと思われる用地があり(駐車場として活用されていたが今は営業していない)、そこに仮線を造るのが一般的な工法ですけど、公的資料には仮線化のステップがありません。その用地を活用して高架の橋脚を立てて、いわゆる直上高架方式で地平から高架に切り換えるようです。下の図版ではそのあたりを表現するのが難しいので複線分岐で切り換えるように描いています。

STEP6

STEP7

STEP8

…このようなステップになるものと想定されます。筆者が驚いたのは、泉岳寺~品川間で下り線の抗口を1度仮設してから本設設備を造り直す、というコストのかかる施工方法を採ったことです。京浜急行側は、施工途上の駅機能の縮退を一切認めなかった、ということですね。また、現駅の設備を全て工事桁で受け変えて、その下に2面4線の新駅を一発で施工するというのもなかなか大胆。筆者の案(京急品川駅改良を参照)であれば仮設費用は最小限になるわけですが、切換の回数は増えるのでむしろそちらを嫌ったものと思われます。
2.駅舎構造のステップ
線路配線のステップは少ないながらも断面図から読み取れますが、駅舎の構造は、この手の公式資料は本当に完成形(しかも超概略図!)しか載せないので、施工途上の姿は完全に筆者の妄想です。そこで、どのように考えるか、ですが…品川駅はJRを含めれば我が国有数の大ターミナルであり、京急品川駅(すなわち高輪口)はその西側玄関になるので、
- 施工の途上であっても高輪口からJRへのバリアフリールートを確保すること
- 施工の途上であっても京急線ホームへのバリアフリールートを確保すること
の2点は必須条件となります。そのうえで「現在の京急品川駅を工事桁で仮受け、その下に2面4線の駅を構築して上下線を一発で切り換える」という基本方針が実現できるように駅の構造のステップを考察したのが以下の内容となります。
なお、ステップの番号は、前述の線路配線のSTEP番号とは関連していませんのでご注意ありたく。
ステップ1

ステップ2

また、京急品川駅は2・3番線ホームから1Fへ降りる階段を直接建物外へ出られるように改修し、建物の外から直接2番線にアクセスできるエレベータを仮設します(このエレベータはラチ外になるのでホームに上がったところに改札口を設けている)。2・3番線ホームの泉岳寺方には改札口を仮設して次のステップに備えます。
ステップ3

また、先のステップで用意しておいた、2・3番線ホームの仮設改札口を使用開始し、1Fの駅施設を使用廃止します。こうなると、駅の外から1番線ホームへのバリアフリールートが無くなってしまう(JRのラチ内を経由すれば一応確保できるが望ましくはない)ため、1番線ホームと2・3番線ホームを結ぶ階段にエレベータを仮設します(物理的に図版のようにできるかどうかは筆者には判断出来ませんが…何らかの形でこの設備は施工するでしょう)。
これで、いわゆる前捌きは一応完了で、現駅設備の工事桁仮受けと1Fホームの施工スペース確保を進めます。
ステップ4

また、新上りホームについても、将来「北側コンコース」となる橋上駅を上りホーム上のみ先行して施工します。下りホームの上には現在の線路があるので施工できません。
筆者は京急品川駅のマスタープランがなぜラチ内コンコースを南北に分割しているのか少々疑問でした(過剰設備じゃないか?と思っていた)が、このように施工ステップを考えてみると、自由通路の北側(図版の右側)にもコンコースを造らなければ工事そのものが成り立たないのだ、ということがようやく見えてきました。
ステップ5

ステップ6

ステップ7

また、ステップ4で仮設した、東西自由通路から直接下りホームにアクセスするエレベータもこのステップで撤去となります(南側コンコースのエレベータでバリアフリールートを一応確保できるようになったから)。
ステップ8

この後は、駅ビルの建設や、国道15号線上に設けられるペデストリアンデッキとの接続等の残工事が待っていますが、筆者はそこにはあまり興味が無いのでステップの検討はここまでです。
3.このページの内容も、あくまで筆者の推測ですよ?
前回の「京急品川駅改良」のページを作成した時点では、まだ完成形に関する資料しかなかったので線路切換を繰り返すステップ案を作りました。今回は、基本的な施工方法(工事桁による現駅仮受けと、泉岳寺方の引上線・下り線の仮設化)が明らかになったことで、現実に関係者間で合意されているであろう施工ステップに少しは近づいたのではないかと思います。しかし、あくまでこのページの内容は公式資料から得られた情報に基づいた妄想です。その点をお間違えなきよう。