妄想鉄道研究所

ホテルトレイン

訪日外国人旅行客の増によって都市部を中心に宿泊施設が不足してきたという昨今の情勢を受けて妄想したものです。寝台車両の車庫の二番煎じとは言わないように!

【更新履歴】

  • 2015.10.10 当Wikiにて初公開

1.ホテルトレインの妄想に至った背景

  • 外国人訪日観光客の増による宿泊施設の需要増大
  • イベント、学会などの一時的な宿泊需要の増への対応の必要性

2.ホテルトレインの基本的な考え方

 コンセプトは「移動可能な宿泊施設」です。

  • 寝台列車ではありません。鉄道車両の中にホテルを作ったという考え方です。
    • 全室に液晶TVを装備します
    • 全車にシャワー室を設けています
    • 収容力確保のためトイレは共用とします
  • 宿泊客を乗せての長距離走行を重視しません
    • 夜行列車では眠れないという問題を回避します
    • 夜行運転に伴うコストおよびリスクを回避します

3.運転方法

(1)夜行運転はしません

 寝台列車がここまで退潮した理由は、夜行運転に伴うコストをJR各社が許容できなくなっていることにあります。すなわち、

  • 夜行列車が深夜時間帯に走行することで列車間合が短縮され、保守作業や工事の効率が悪化する→コスト増
  • 夜行列車が深夜時間帯に走行することで1列車で複数人の乗務員(運転士の場合2時間程度の乗務しかできない)を手配しなければならない→要員増
  • 夜行列車が長距離運転を行うことで、悪天候等によるダイヤ乱れが広範囲化する→予防措置としての運休が多発し、旅客の旅程上のリスクが増す

 よって、この妄想では夜行運転は行いません。

(2)運転パターン

パターンA:車両基地・貨物駅留置

 夜に都内の駅で宿泊客を乗せ、近郊の駅または車両基地で滞泊し、朝(早朝または観光施設が開く10時付近)に再び都内に入る、というパターンです。就寝時間帯は走らないので騒音・振動によって眠れないという問題は回避できます。車両基地に留置する場合は、その間は宿泊客は一切外へ出せないので、電源・水・食事・暇つぶしエンターテイメント等のすべてのサービスを車両内で提供できなければなりません。それでも宿泊客にとっては心理的にかなり窮屈になるでしょう。そこで車両基地に、宿泊客を車外に出す(外の空気を吸いに出る)だけの簡易ホームを設けられれば少なくとも窮屈さは解消できると考えます。

 さらなる問題は、ホテルトレインの電源を架線から供給すると、車両基地のき電を停止できなくなることです。そこで、ホテルトレイン用ホームに三相440Vの交流電源を車両に供給する設備を設ければ、サービス電源だけは確保でき基地の保守の問題も解決できます。

 なお、旅客列車用の車両基地に滞泊させるのは、実は基地の収容力的には問題があります。夜間が最も収容編成数が多くなるからです。そこで、筆者は貨物駅に留置することを提案します。貨物駅はむしろ夜間の方が空いているからです。ただし、荷役の騒音が気になるという課題はあります。

パターンB:ホーム留置

 都内で比較的構内ダイヤに余裕がある(と思われる)駅のホームにホテルトレインを滞泊させるパターンです。駅の終電~初電の間は当該ホーム以外に出られないように宿泊客の動線を規制する必要があるでしょう。その点をクリアすれば、駅の飲食店やコンビニを使用してもらい、ホテルトレイン側で提供すべきサービスレベルを大きく下げることができます(駅のトイレは微妙なので列車の方を利用していただくことになるでしょう)。

 日中は車両基地で翌日の宿泊客受け入れの準備をします。基地には特急車の仕立て整備ができる設備(リネン交換、清掃、給水、汚物抜取ができる)が必要です。

(3)回送

 ホテルトレイン構想の目玉は、車両を宿泊需要の大きな都市へ回送して使うことにあります。たとえば仙台七夕や青森・弘前のねぶた、大曲や長岡の花火といった東北地方のイベントは大きな集客力を有していますが、宿泊先の容量の少なさが常に問題になります。

 そこで、そういったイベントに合わせてホテルトレインを現地に移動させて臨時の宿泊施設にします。その際の回送は2日間をかけて行います。基本的に1日目に回送を終え、2日目は予備日とします。当日になって宿泊先が無い、という事態は絶対に避けなければならないからです。なお、この回送は原則として送客には使いません。前述のとおり、在来線を営業運転で長距離走行させるにはリスクもコストも大きすぎるからです。

4.ホテルトレインの車両の概念

(1)電車方式を採用

  • コストダウンのため、付随車優位の編成とします
  • 通常は長距離走行を想定せず、長距離回送の際には機関車牽引とします
  • 地方幹線の有効長を活用して長大編成を組みます
  • 運転最高速度は110km/h
  • 運転保安装置はATS-Pのみ。D-ATC区間を走行する場面は皆無と考えられるためです

(2)電源方式

  • 直流1500V、交流20000V 50/60Hzで集電し走行可能です
  • 車両機器への電源供給は一般的な三相440Vとします
  • 外部から三相440Vを床下の三相ツナギ箱に接続して、き電停止中またはパンタグラフを下げた状態でもサービス電源を確保できるようにします

(3)車内設備

  • すべて個室客室とします。これは宿泊施設としてのセキュリティ確保上必須です
  • 宿泊施設の不足を補完するのが目的であり、収容力の確保を第一とします。よって、他の超豪華車両とは一線を画します
  • 部屋の種類は以下のとおりです。
人員数124
A-ClassA1A2
B-ClassB1B2B4

(4)室内設備・サービスの考え方

グレードベッド幅デスクTV洗面台シャワー
A-Class80cm20インチシャワーカードを標準配布
B-Class70cm17インチシャワーカードは別途購入
  • A-Classはトイレ有にしようと思いましたが、収容力とコストダウンを重視すると共用とせざるを得ません
  • 各部屋にはフロントに通じるインターフォンが設備されています。部屋同士および外部との通話はできません。宿泊客の大半が携帯電話を持っている前提です
  • TVはタッチ操作式であり、リモコンはありません(盗難対策です)。TVからはシャワールームの予約のほか、編成中のトイレの使用状況が確認できます。TVのコンテンツは、車内の案内のほか、地上波各局が視聴可能。留置先に到着し、ケーブルTVの回線を接続すると海外の衛星放送も視聴できるようになります(これは外国人向けのサービス)。なお、いわゆるPay-TVのサービスはありません。

(5)編成構成

 ホテルトレインは収容力の確保を第一としており、標準仕様で11両編成(3M8T)を組みます。総定員は222名。中央の6号車をロビーカーとして、1~5号車と7~11号車を対称に連結します。全車種がトイレを備えているため、トイレの有無に制約されることなく需要に応じて車種変更や増車・減車が可能です。

号車番号0102030405060708091011
車種記号TcTMTTMRTTMTTc
車両形式クハネサハネモハネサロハネサロハネモハネサロハネサロハネモハネサハネクハネ
587587587586587586587586587587587
部屋数A177
A244
B123242423
B22441442
B4511115
定員232424192022019242423

5.各車両解説

 ホテルトレインの車両は、仮に587系と称します。以下、各車両の仕様について解説します。

(1)クハネ587

ホテルトレイン/クハネ587.gif

 B1個室を23室備えた制御車です。車椅子対応のB1とトイレを至近に配置し、必ず連結する制御車をバリアフリー化することで編成構成上の制約を回避します。

(2)サハネ587

ホテルトレイン/サハネ587.gif

 B1個室を24室備えた付随車です。本車種はクハネ587と同様に通路幅が狭く、通り抜けるには階段の上り下りを伴うため、編成の両端に連結することが推奨されます。

(3)モハネ587

ホテルトレイン/モハネ587.gif

 B4個室5室とB2個室2室で定員24名の電動車。B4個室は天井の高い区画に配置され、2段ベッドを2組向かい合わせにしており、かつてのB4コンパートメント「カルテット」と同様の設備となっています。B2個室は2段ベッドにできない天井の低い区画に配置されます。

(4)サロハネ586

ホテルトレイン/サロハネ586.gif

 二階建車両の2F部分にA1個室7室、1F部分にB2個室4室、平屋部分にB4個室を1室設けた付随車です。587系のA-Class個室は、部屋の中に階段を配置してスペースを拡大しています。シャワールームはこの車両の宿泊客専用です。

(5)サロハネ587

ホテルトレイン/サロハネ587.gif

 二階建車両の2F部分にA2個室4室、1F部分にB2個室4室、平屋部分にB4個室を1室設けた付随車。A2個室は、JR東日本E26系客車(すなわちカシオペア用)のツインルームからトイレを排して洗面台付のデスクを設けた形になっています。この車両のシャワールームもこの車両の宿泊客専用です。

(6)モハネ586

ホテルトレイン/モハネ586.gif

 ホテルトレインのサービスの中核を成す車両です。

フロント
コンビニコーナーのレジカウンターと共用することで要員を削減します。チェックイン/チェックアウト時の混雑する時間帯だけ増員する、という運用もできます(何せほとんどの時間は走行していないので要員手配が容易なのがメリット)。なお、従業員は交代制で、車端にある休憩室で食事・仮眠をとります(だれか一人は車内に常駐している必要がある)。
コンビニコーナー
品ぞろえは弁当・インスタント食品・飲み物系が中心です。電子レンジ、給湯ポットも当然備えています。
車椅子対応室
営業上はB2個室の扱いですが、介助者が動きやすいよう、2つのベッドをフラットに配置するためA2個室並みの設備となっています(窓側のベッドはセット状態で固定)。車椅子対応のトイレも室内にあります。フロントの直近に配置するためこの車両に設けました。
女性用コーナー
パウダールーム、トイレ、シャワールームを一カ所にまとめた男子禁制のスペースです。シャワールームの脱衣室はパウダールーム兼用であり、すっぴん姿を見られたくない女性心理に配慮しました(つもりです)。
ロビー室
飲食スペースとして設けました。大型TVを備えているが、流しているコンテンツは基本的に車内の案内のみです。正直なところあまり長居してほしくない場所であり、ソファも固めのものを使います。

6.ホテルトレインのオペレーション

(1)チェックイン

パターンA:車両基地留置

 このパターンでは、宿泊客を乗せる場面でターミナル駅のホームを長時間占有することはできません。そこで、各車両の扉を開けて宿泊客を受け入れます。各扉に係員を張り付け、事前に発行されている宿泊券を回収し人数を確認することでチェックインとします。いわゆる宿帳への記入は、宿泊券発行の際に宿泊者の氏名・連絡先を登録することで行います(個人客の場合はインターネット予約のみ受け付けてコストを削減します)。この係員は基本的にチェックインの場面のみを担当します。複数の駅で宿泊客を乗せる場合は係員は最終乗車駅まで添乗します。よってチェックインの係員に乗務員資格を有する社員を充てる必要はありません。

パターンB:ホーム留置

 基本的にはパターンAと同じく、ホテルトレインをオープンする場面では各車の扉に係員を張り付けてチェックイン開始を待っていた宿泊客に対応します(対応はパターンAと同じ)。宿泊客が一通り車内に入ったら当該の車両の扉を閉めて係員の張り付けを解除し、ロビーカーのフロントカウンター直近の扉のみを開けてその後のチェックインに対応します。こちらのパターンでは、留置中の駅の終電までチェックインできますが、実際には門限を設けることになると思います。

(2)チェックアウト

 ホテルトレインでは、チェックアウトの時間を極力短縮するため、車内での決済はすべてその場で行います。そのためチェックアウトの手続きは特にありません。パターンAの場合は滞泊先の基地から下車駅へ向かい、下車駅では全部の扉を開けて宿泊客を降ろします。パターンBの場合は、停車中は随時ロビーカーのフロントカウンター直近の扉から下車できます。

(3)オペレーションの基本

連泊を前提とせず
ホテルトレインが同じ箇所で連日宿泊営業をする場合でも、同じ宿泊客が同じ部屋に荷物を入れっぱなしで連泊することはできません。これは、ホテルトレインが「チェックイン中はスタッフが客室に入ることはない」ことを建前としているためです。これにより、セキュリティボックスを省略しています。
鍵は暗証番号制
各部屋とも4ケタの暗証番号を設定して施錠します。4人部屋まであるので、人数分の鍵やカードキーを用意するのは不合理だからです。キーボードはタッチパネル式で、キー配置をランダムにすることでセキュリティを向上させます。
シャワールームは予約制
ホテルトレインのシャワールームは、A-Classルームを備える車両はその車両の宿泊客専用で、その他の車両は共用で使用できます。A-Classルームではシャワーカードは各部屋に配布済で、B-Classルームではフロントで購入します(300円)。各部屋のTVから予約画面に入り、シャワーカードに印刷された暗証番号を入力し、それぞれの号車に割り当てられたシャワールームの使用時間帯を選択することで予約します。シャワールームでは、入口にあるバーコードリーダでカードに印刷されたQRコードを読み込ませると入室できます。一人あたり20分間使用可能(そのうちお湯が出るのは正味6分間)。女性用コーナーにあるシャワールームはメイクに要する時間を考慮して30分間の占有時間となっています。

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